NASCAR(ナスカー)とは、National Association for Stock Car Auto Racingの略称で、日本語では「全米自動車競争協会」と訳されます。1948年から、アメリカで自らが運営するストックカー・シリーズの規則を定め、カレンダーを組み、タイトルを授与してきた組織で、その頂点がNASCARカップ・シリーズです。
モータースポーツの略称の多くは競技団体を指します。しかしこの略称は企業も指しています。NASCARは創設以来フランス家が支配しており、2026年4月には初めて一族以外から最高経営責任者(CEO)を任命しました。NASCARが今日本当に何を意味するのかを理解するには、この略称を三つの読み方で読むのが近道です。言葉として、歴史として、そして組織の構造として。
- 略称:National Association for Stock Car Auto Racing。
- 誕生:1947年12月14日、フロリダ州デイトナビーチのストリームライン・ホテルで開かれた会合と、1948年2月21日の正式な設立。
- 現在:三つのナショナル・シリーズ(カップ・シリーズ、オライリー・オートパーツ・シリーズ、クラフツマン・トラック・シリーズ)と、2026年は2月15日のデイトナ500から11月8日のホームステッド・マイアミでの最終戦まで、ポイント対象36戦で争われるカップ選手権。
NASCARという略称を一語ずつ
National Association
少なくとも名前の上では、全国的な協会です。ただし、この言葉に惑わされてはいけません。NASCARは公的機関でも、会員の選挙で選ばれる競技団体でもなく、自らのシリーズの規則を決め、そのテレビ放映権を販売し、スポンサーシップを管理する民間企業です。
Stock Car
文字どおりには、販売店の在庫(ストック)からそのまま持ち出したクルマのことです。もともとストックカーとは、改造を加えていない市販車を意味していました。現在のトップシリーズの源流となったシリーズが、1949年にストリクトリー・ストック、つまり「厳密に市販車のまま」という名前だったのは偶然ではありません。しかし1980年代の終わりには、NASCARのレーシングカーはすでに外見だけが市販車に似ている存在になっていました。現在は、2022年にカップ・シリーズへ導入されたネクストジェン(Next Gen)のボディの下に、多くの部品を単一サプライヤーが供給し、全チーム共通となったレース専用シャシーがあります。一方でエンジンは各メーカーのものが使われ続けており、ボディはシボレー、フォード、トヨタのモデル、すなわちカマロ、マスタング、カムリを思わせるデザインです。技術的な詳細は、NASCARで使われるクルマについてのガイドで紹介しています。
Auto Racing
自動車レース、それ以上の限定はありません。典型的なイメージはオーバルコースで、オーバルは今もカレンダーの中心ですが、NASCARはロードコースでもレースを行い、2026年にはサンディエゴのコロナド海軍基地内に設けられた市街地コースでも開催されました。
NASCARはどのように生まれたか:四つの日付
1. 1947年12月14日:ストリームライン・ホテルでの会合
メカニックであり、ドライバーであり、レースのプロモーターでもあったビル・フランス・シニアが、ドライバー、クルマのオーナー、主催者たちをデイトナビーチのストリームライン・ホテルに集めます。ストックカーレースはすでに、特にアメリカ南部で観客を集めていました。目的は、それらに共通のルールと共通の選手権を持つ一つの組織を与えることでした。
2. 1948年2月15日:最初のレース
NASCARの名で開催された最初のレースは、一部が砂浜、一部が海岸道路という構成のデイトナビーチのコースで行われ、フォードに乗るレッド・バイロンが優勝しました。会社が書類の上で正式に設立される6日前のことです。
3. 1948年2月21日:設立
ビル・フランス・シニアを社長として、NASCARが正式に設立されます。12月にはアイデアが話し合われただけでしたが、ここでそのアイデアに定款が与えられました。
4. 1949年6月19日:カップ・シリーズの前身が誕生
シャーロットにある4分の3マイルのダートオーバルで、現在のカップ・シリーズの前身であるストリクトリー・ストック部門の最初のレースが行われます。最初にチェッカーを受けたのはグレン・ダナウェイでしたが、レース後の車検でリアスプリングの改造が見つかり、勝利はジム・ローパーに与えられました。つまりNASCARのトップシリーズは、失格となった勝者から始まったのです。
一つの選手権、いくつもの名前
半世紀近くにわたって、トップシリーズの名前そのものも売り物でした。1971年から2003年まで、シリーズはR.J.レイノルズのたばこブランドにちなんでウィンストン・カップと呼ばれ、その後ネクステル(2004〜2007年)、スプリント(2008〜2016年)、モンスターエナジー(2017〜2019年)が続きました。
2020年以降、NASCARはトップシリーズの冠スポンサーを置いていません。シリーズの名称は単にNASCARカップ・シリーズとなり、大手ブランドは複数の企業が共有するパートナーシップの階層であるプレミア・パートナーとして参加しています。一方、2番目のシリーズは今も名前を販売しています。2026年からは旧エクスフィニティ・シリーズがNASCARオライリー・オートパーツ・シリーズとなり、オライリーはアンハイザー・ブッシュ、ネーションワイド、エクスフィニティに続いて、このシリーズに名前を冠する4番目のブランドとなりました。
これは多くを物語る細部です。NASCARでは選手権の名前でさえスポンサーシップの枠であり、いまブランドがこの世界でどのように活動しているかを知りたい方は、プレミア・パートナー、チーム、冠スポンサーをまとめた2026年NASCARスポンサー一覧をご覧ください。
現在のNASCARの仕組み
三つのナショナル・シリーズ
- NASCARカップ・シリーズ:トップシリーズで、デイトナ500が行われる選手権。
- NASCARオライリー・オートパーツ・シリーズ:2番目のシリーズで、成長中の若手ドライバーが戦い、限られたレース数ではカップのドライバーも参戦します。
- NASCARクラフツマン・トラック・シリーズ:ピックアップトラックのシリーズ。
三つのナショナル・シリーズのほかに、地域シリーズや国際シリーズもあります。たとえばNASCARユーロ・シリーズは、2026年にバレンシアからゾルダーまで、ヨーロッパのサーキットで6週末にわたり12レースを開催しました。三つの主要シリーズから選ぶ必要がある方には、どのNASCARシリーズをスポンサーすべきかを比較したガイドがあります。
カップ・シリーズの2026年シーズン
2026年のカレンダーは38の開催で構成されています。ポイント対象の36戦と、ポイントのない2つのイベント、つまりボウマン・グレイ・スタジアムでのクラッシュとオールスター・レースです。ポイント対象のシーズンは2月15日のデイトナ500で開幕し、11月8日にホームステッド・マイアミで閉幕します。全レースの日程は、2026年NASCARカップ・シリーズのカレンダーに掲載しています。
タイトル:チェイスの復活
2026年、NASCARはタイトルの決め方を変更し、2004年から2013年まで採用されていた、勝ち抜き方式のないチェイスを復活させました。レギュラーシーズン26戦を終えた時点でランキング上位16人がチェイスに進出し、ポイントは一度だけ再調整され、チャンピオンは最後の10戦で決まります。優勝しても進出は保証されず、決め手はランキングです。その代わり、優勝の価値は上がり、40点から55点になりました。
ステージ制のレース
2017年から、レースはいくつかのステージに分けられており、通常は三つです。最初の二つのステージの終了時に上位10人がポイントを獲得し、1位は10点、10位は1点です。三つのステージで構成されるレースで両ステージとレースの全てに勝ったドライバーは、最大75点を手にできます。1レースがどれくらい続くのか、そしてなぜ答えがコースによって変わるのかは、NASCARのレースは何時間かについてのガイドで解説しています。
誰が運営しているのか
NASCARはフランス家が支配する民間企業です。創設者の息子であるジム・フランスは引き続き取締役会会長かつ過半数株主を務め、2026年4月にはCEOのポストがスティーブ・オドネルに引き継がれました。組織の78年の歴史で初めての一族以外のCEOで、ジム・フランスの姪の息子にあたるベン・ケネディが最高執行責任者(COO)として支えます。2019年にインターナショナル・スピードウェイ・コーポレーションを約20億ドルで買収して以来、NASCARはデイトナからタラデガまで、自らレースを行うコースの多くも所有しています。
誰が放送しているのか
2025年から2031年まで、カップ・シリーズのレースは四つのテレビ・配信グループに分けられています。FOX、Amazon Prime Video、TNT Sports、そしてチェイスを含むシーズン終盤を放送するNBCです。2番目のシリーズに関するThe CWとの契約を合わせると、総額はスポーツ・ビジネス・ジャーナルによれば約77億ドルです。これは報道による数字で、公式に発表されたものではありません。
アメリカ国外のNASCAR
NASCARはこれまで何度かアメリカの外へ出ようとしてきました。1996年から1998年にかけては日本でポイントのないエキシビションレースを3戦開催し、2戦は鈴鹿、1戦はもてぎで行われました。2025年6月15日には、カップ・シリーズがメキシコシティのアウトドロモ・エルマノス・ロドリゲスで、1958年以来となるアメリカ国外でのポイント対象レースを開催し、シェーン・ヴァン・ギスバーゲンが優勝しました。ヨーロッパにはユーロ・シリーズがあります。
それでも、その中心はアメリカにあります。カレンダーも観客もテレビ契約もアメリカに向けられており、どんなマーケティングの検討もそこから始める必要があります。
ブランドにとってのNASCAR
企業にとってNASCARが意味するものははっきりしています。レースを重ねるごとに築かれる、アメリカ市場への入り口です。スポンサーシップのモデルはF1とは異なります。1台のクルマでは、ボンネットを占めてカラーリングを決めるプライマリー・スポンサーがレースごとに入れ替わることがあり、その横にはより小さなスペースを持つアソシエイト・スポンサーが並び、選手権レベルではオフィシャル・パートナーとプレミア・パートナーが存在します。費用やパッケージについては、2026年のNASCARスポンサーシップについてのガイドで説明しています。
どんなブランドに向いているか
アメリカで販売しているブランド、あるいはすでに整った流通網を持ってアメリカ市場に参入したいブランドです。私たちの経験では、NASCARのスポンサーシップが成果を生むのは、ロゴの背後にレース開催都市での販売拠点、プロモーション、顧客や販売代理店向けのホスピタリティがある場合です。
別の選択肢を検討すべきブランド
アメリカに流通網を持たない企業や、複数の大陸にまたがる露出を求める企業です。そうした企業にとっては、F1やMotoGPのようにグローバルなカレンダーを持つ選手権のほうが、自社の顧客層に届きやすい可能性があります。どちらの場合も同じルールが当てはまります。テレビでの露出は二つのパッケージを比べるうえで有用な指標ですが、リターンはビジネスの成果、つまり契約、売上、新たな販売代理店によって測るべきものです。
この一歩を検討している方は、NASCARスポンサーシップ・エージェンシーのページで、シリーズの選択からアクティベーションまで私たちがどのようにブランドを支援しているかをご覧いただけます。
NASCARに関するよくある質問
NASCARとは何の略ですか?
NASCARとは、National Association for Stock Car Auto Racingの略称で、日本語では「全米自動車競争協会」と訳されます。1948年から、アメリカで自らが運営するストックカー・シリーズの規則を定め、カレンダーを組み、タイトルを授与してきた民間の組織です。
NASCARはいつ設立されましたか?
構想が生まれたのは1947年12月14日、ビル・フランス・シニアがフロリダ州デイトナビーチのストリームライン・ホテルで開いた会合でのことです。会社は1948年2月21日に正式に設立されました。NASCARの名で行われた最初のレースはそれより前の2月15日にデイトナビーチで開催され、レッド・バイロンが優勝しています。
ストックカーとはどういう意味ですか?
もともとストックカーとは、販売店の在庫からそのまま持ち出し、改造せずにレースに出した市販車のことでした。そのため、トップシリーズの源流となったシリーズは1949年にストリクトリー・ストックと名付けられました。現在のカップ・シリーズのクルマは2022年に導入されたネクストジェンで、エンジンを除く多くの部品が全車共通の本格的なレーシングカーです。ボディはシボレー・カマロ、フォード・マスタング、トヨタ・カムリを思わせるデザインです。
NASCARにはどんなシリーズがありますか?
ナショナル・シリーズは三つあります。トップシリーズのNASCARカップ・シリーズ、2025年まではエクスフィニティ・シリーズと呼ばれていた2番目のシリーズであるNASCARオライリー・オートパーツ・シリーズ、そしてピックアップトラックによるNASCARクラフツマン・トラック・シリーズです。このほか、ヨーロッパのNASCARユーロ・シリーズのような地域シリーズや国際シリーズもあります。
NASCARのオーナーは誰ですか?
NASCARは、1948年に同組織を創設したフランス家が支配する民間企業です。創設者の息子であるジム・フランスが取締役会会長かつ過半数株主です。2026年4月にはスティーブ・オドネルが一族以外で初めてCEOに就任し、ベン・ケネディが最高執行責任者を務めています。
2026年のNASCARのタイトルはどのように決まりますか?
チェイスによって決まります。これは2004年から2013年まで採用され、2026年に復活した勝ち抜き方式のないフォーマットです。レギュラーシーズン26戦を終えた時点でランキング上位16人がチェイスに進出し、ポイントは一度だけ再調整され、タイトルは最後の10戦で決まります。最終戦は11月8日のホームステッド・マイアミです。優勝は55点の価値があります。