タイヤはF1で最も魅力的で、議論の的になりやすく、そして重要なパーツのひとつです。常にレギュレーション変更や設計の見直し、エンジニアの関心の中心にあり、マシンと選手権が行われるサーキットの路面とをつなぐ唯一の接点でもあります。当たり前に聞こえるこの事実から、二つの大切な帰結が導かれます。一つ目は、コースや条件が違えば必要なタイヤも違うということ。二つ目は、チームがタイヤをうまく機能させられるかどうかが、しばしばグランプリの勝敗を分ける要因になるということです。
要点をまとめると、2026年、2011年からF1の単独サプライヤーを務めるピレリは、最も硬いC1から最も柔らかいC5まで5種類のドライコンパウンドと、2種類のウェットタイヤを持ち込んでいます。各レースではドライ用から3種類が選ばれ、赤(ソフト)、黄(ミディアム)、白(ハード)で表示されます。インターミディエイトは緑、フルウェットは青のラインです。
F1のタイヤの種類
ピレリがP Zeroと呼ぶドライタイヤは、表面が完全に平らなスリックタイヤで、柔らかさの度合いで分けられています。C1が最も硬く、C5が最も柔らかいコンパウンドです。2025年にはさらに柔らかいC6まであったものの、2026年には廃止されました。テストでC5との性能差が小さすぎ、残す理由がなかったためです。
ピレリはカレンダーの各ラウンドごとにコースの特性に合わせてこのうち3種類を指定し、色で区別します。赤が最も柔らかく、黄がミディアム、白がハードです。つまりモナコの「赤タイヤ」とシルバーストンの「赤タイヤ」が同じコンパウンドとは限りません。色が示すのはその週末におけるコンパウンドの役割であって、コンパウンドそのものではないのです。
ピレリがCinturatoと呼ぶウェットタイヤは2種類です。路面が湿っている、あるいは水が少ないときに使う緑ラインのインターミディエイトと、本格的な雨のための青ラインのフルウェットです。
コンパウンドの硬さは非常に重要です。硬いタイヤはグリップが小さい代わりに長持ちし、柔らかいタイヤは速い代わりに早く摩耗します。この二つの性質のバランスが、結果を組み立てる土台のひとつになります。
2026年のF1タイヤ:細く、軽く
2026年の新しい技術レギュレーションに合わせ、タイヤも変わりました。2022年に導入された18インチホイールはそのままですが、タイヤは細くなり、フロントで25ミリ、リアで30ミリ狭くなっています。外径も720ミリから705〜710ミリへと小さくなりました。タイヤが小さくなれば重量とバネ下重量が減り、マシンをより軽く俊敏にするという目標にもかなっています。
ピレリは少なくとも2028年まで単独サプライヤーを続けます。FIAとF1が、2027年までの契約を1年延長するオプションを行使したためです。F2、F3、F1アカデミーも同様です。
ドライバー1人あたりのタイヤの数
各チームはエントリーした2台分のタイヤセットをピレリから受け取ります。通常の週末では、ドライバー1人あたりドライタイヤが13セット。内訳はハード2、ミディアム3、ソフト8です。これに、雨のときだけ使うインターミディエイトとフルウェットのセットが加わります。スプリントがある週末は、ドライタイヤが12セット(ハード2、ミディアム4、ソフト6)に減ります。
フリー走行の間にドライバーは一部のセットを順に返却し、残りを予選と決勝の間で慎重にやりくりしなければなりません。週末で最も過小評価されている作業のひとつで、金曜日にソフトを使いすぎると日曜日に足りなくなることもあります。
レース中のタイヤ交換:ルールとメリット
2022年からは、予選で使ったコンパウンドに関係なく、全ドライバーがスタート時のコンパウンドを自由に選べるようになりました。
ただしドライレースでは、ピレリが持ち込んだ3種類のドライコンパウンドのうち少なくとも2種類を使うことが義務づけられています。そのためピットストップは必須となり、新しいタイヤに替えるためだけでなく、タイヤの種類を変えるためにも必要になります。ソフトで速いマシンがハードでも同じように速いとは限らず、その逆もまたしかり。落とし穴の多いポイントです。
タイヤは種類によって性能だけでなく寿命も違うため、チームは毎回新しいピット戦略を組み立てる必要があります。ソフトでスタートすれば早めのストップが必要になり、ハードを選べば第1スティントを長くできます。2025年のモナコでは、FIAがレースを動かすために2回のピットストップを義務づけましたが、この試みは不評で、2026年には廃止されました。
アンダーカットとオーバーカット
ピレリは各チームに、コンパウンドごとの最適な作動温度域と、スティント(ピットに入らずに走り続ける区間)の想定距離を伝えます。しかし、いつドライバーをピットに呼ぶかは、各チームのピットウォールが立てた戦略に基づいて独自に判断します。
よく使われる手のひとつがアンダーカットです。予定より1〜2周早くピットに入り、ライバルより先に動きます。ピットアウト後は新品タイヤで、まだ摩耗したタイヤで走るライバルより速く、相手がピットに入ったときに順位を奪えることがあります。その代わり、レース終盤にはタイヤの摩耗が進み、さらにピットアウト後に渋滞にはまったり、ピットストップのロスが大幅に減るセーフティカーのチャンスを逃したりするリスクもあります。
アンダーカットの反対がオーバーカットです。前が空いているコースや、まだ状態のよいタイヤを生かして数周長く走り、終盤により新しいタイヤで戦う作戦です。
スプリントレースのタイヤ
スプリントのある週末、ドライバーは短いレースのコンパウンドを自由に選べます。距離が短いため、短い距離で最も性能を発揮するコンパウンドを選ぶドライバーが多く、コースによってミディアムのことも、ソフトのこともあります。グランプリと違い、スプリントにはタイヤ交換の義務がなく、スタート時のタイヤでそのままゴールできます。
技術、戦略、そしてすべての車輪にあるブランド
この競技のほかのあらゆる要素と同じく、タイヤにも並外れた技術と精密さが詰まっています。巨大な加速、制動、荷重に耐えながら、非常に高いグリップを生み出さなければなりません。そのためにはタイヤを準備し、温め、賢く使う必要があり、ここでも偉大なドライバーとチャンピオンの差が表れます。スタート前やセーフティカーの後ろでドライバーが左右に蛇行するのは偶然ではありません。タイヤの温度を保つための動きなのです。
タイヤに関するルールは年々磨かれ、ここまで説明してきた複雑な仕組みになりました。関係者やファンの間では議論が続いています。一般の視聴者には難しすぎるという声もあれば、F1はそもそも複雑さのスポーツであり、こうしたルールがコース上の競争を生み出しているという声もあります。どちらが正しいかを決めるのは難しいところです。
確かなのは、タイヤとその扱いが、ほかのどんな要素にも増して、グランプリの勝敗を、ときにはシーズン全体を左右しうるということです。そしてマーケティングに携わる人が見逃せない点がもうひとつあります。タイヤのサイドウォールに入ったピレリの名前は、グリッド上のすべてのマシンに、あらゆる映像に、毎レース登場するブランドです。これもまた、F1スポンサーシップで主役になるひとつのかたちです。
F1 タイヤに関するよくある質問
2026年のF1 タイヤには何がありますか?
ピレリは最も硬いC1から最も柔らかいC5まで5種類のドライコンパウンドと、インターミディエイトとフルウェットの2種類のウェットタイヤを用意しています。各レースではドライ用から3種類が選ばれます。2025年に使われたC6は廃止されました。
F1 タイヤの色は何を意味しますか?
赤はその週末に選ばれた最も柔らかいコンパウンド、黄はミディアム、白はハードを示します。緑はインターミディエイト、青はフルウェットです。色はそのレースにおけるコンパウンドの役割を示し、いつも同じコンパウンドとは限りません。
F1の週末、ドライバー1人あたりタイヤは何セットありますか?
通常の週末はドライタイヤ13セット(ハード2、ミディアム3、ソフト8)とウェットタイヤ。スプリントのある週末はドライタイヤ12セット(ハード2、ミディアム4、ソフト6)です。
F1ではピットストップが義務ですか?
ドライレースなら義務です。各ドライバーは異なるドライコンパウンドを最低2種類使わなければならないため、少なくとも1回はピットに入る必要があります。ウェットタイヤで走るレースではこの義務はなくなります。スプリントにはタイヤ交換の義務はありません。
アンダーカットとオーバーカットとは何ですか?
アンダーカットは、ライバルより先にピットに入り、新品タイヤの速さを生かして相手のピットイン時に前に出る作戦です。オーバーカットはその逆で、数周長くコースにとどまり、終盤に新しいタイヤで戦う作戦です。
F1のタイヤを供給しているのはどこですか?
ピレリです。2011年にブリヂストンから役割を引き継いで以来、単独サプライヤーを務めています。FIAおよびF1との契約は2028年まで延長されました。