2年余りの間に、MotoGPでは3つのスポンサーの動きが続きました。並べて読むと、このテーマについて知っておくべきことのほとんどが見えてきます。2024年9月、レプソルは30年続いたホンダのファクトリーチームとの関係を終えると発表しました。2026年5月、モンスターは2027年からアプリリアのタイトルスポンサーになる契約を結びました。2026年10月には、2023年末にホンダを離れたレッドブルが、2027年から日本のチームに戻ると発表しました。
スポンサーがチームを替えるのは、チームが勝てなくなったときだと考えられがちです。そういう場合もありますが、それは最も役に立たない説明です。私は別の見方をしています。スポンサー変更が起きるのは、契約した理由そのものが変わったときです。レースの結果は、要素のひとつにすぎません。
要点
- 繰り返し現れる理由は4つです。ライダー・ドライバー、技術プロジェクト、グリッドにおけるブランドの立ち位置、そしてコストとリターンの関係です。
- 準備の整った変更は観客、市場、新しいストーリーをもたらします。場当たり的な変更は、ブランドを何年も前のチームに縛りつけたままにします。
- 独占条項、ライダーの契約、市場のタイミングは、契約の後ではなく前に読んでおくものです。
チームを替える4つの理由
1. ライダー・ドライバー
スポンサーシップの価値が人にあるとき、その人はスポンサーを一緒に連れて行きます。サンタンデール銀行はフェルナンド・アロンソが加入した2007年にマクラーレンに参加し、このスペイン人ドライバーが去った後も残り、2010年、アロンソがフェラーリに移ったのと同じシーズンにフェラーリにも加わりました。マクラーレンとは、その後も数年間、規模を縮小した契約を続けています。2025年には、もう一人のスペイン人カルロス・サインツとともにフェラーリからウィリアムズへ移っています。MotoGPでは、レッドブルとホンダの契約に、マルク・マルケスが離脱した場合に撤退できる条項がありました。マルケスは2024年にグレシーニのドゥカティへ移籍し、レッドブルは契約を終えました。ライダーやドライバーの移籍がスポンサーと観客をどう動かすかについては、別の記事で詳しく書いています。
2. 技術プロジェクト
スポンサーは未来も買っています。The Raceによれば、レッドブルのホンダ復帰には2つの要素が影響しました。850ccのマシンとピレリタイヤで多くの力関係を組み直す2027年のMotoGP新ルールと、2027年と2028年の契約でホンダが獲得した2021年世界チャンピオン、ファビオ・クアルタラロの加入です。同じ考え方を逆にすると、撤退も読み解きやすくなります。レプソルが別れを発表したとき、ホンダのファクトリーチームは2019年以来タイトルを、2021年以来レースの勝利を手にしていませんでした。レプソルもホンダも公式な理由は示していません。
3. ブランドの立ち位置
役割を変えるためにチームを替えるスポンサーもいます。2019年からヤマハのファクトリーチームのタイトルスポンサーを務めるモンスターは、2026年イタリアGPからアプリリアのメインスポンサーとなり、2027年にはタイトルスポンサーになります。2027年のヤマハでの役割は、まだ正式に発表されていません。最もよく引き合いに出される先例はマルボロです。1974年から1996年まで23シーズンにわたりマクラーレンと組んだ後、フィリップ・モリスは投資の大部分をフェラーリに移し、マルボロは1997年からフェラーリのタイトルスポンサーになりました。私はこう読んでいます。選手権で最も知られたチームひとつに絞ることは、複数のマシンに分散した露出よりも価値があったのです。
4. コストとリターン
4つ目の理由は最も単純で、最も語られないものです。契約が満了し、企業が計算をやり直すのです。勝つチームの価格は上がり、ブランドの目標は変わり、新しい市場が優先事項になります。こうした場合、変更は通常の投資判断であり、前のスポンサーシップを測ったのと同じ指標を使って、投資判断として扱うべきです。
得られるもの
準備の整った変更は3つのものをもたらします。新しい観客です。どのチームにもどのライダーにも、それぞれのファンと国があるからです。新しいストーリーです。チームへの加入はニュースであり、ニュースはコミュニケーションに、顧客向けにも社内向けにも使えます。そして新しい契約です。権利、ホスピタリティ、アクティベーション、成果の測定など、前のスポンサーシップから学んだことを踏まえて作ることができます。
抱えるリスク
最初のリスクは、観客の意識の中で前のチームと結びついたままになることです。マルボロはその極端な例です。たばこ広告に関する欧州の指令は2005年7月31日から適用されていますが、それでもこのブランドとフェラーリの赤の結びつきは長く残り、2010年には一部の英国の医師がマシンのカラーリングのバーコードをサブリミナル広告だと批判しました。フェラーリは否定しましたが、その年のスペインGPから、フィリップ・モリスと合意のうえでこの模様をマシンから外しました。この経緯は、F1とたばこについての記事で詳しく紹介しています。
2つ目のリスクは独占条項です。Motorsport.comとCrashの報道によれば、レッドブルの契約は、少なくとも2024年はホンダが別のエナジードリンクを迎えることを禁じていました。去る側は残る側に制約を残すことがあり、新しく入る側はそれが何かを知っておく必要があります。3つ目はライダーの個人契約です。2025年、モンスターと結びついたドゥカティのファクトリーチームに移る際、マルケスはレッドブルとの個人契約を終えました。チームに加わるスポンサーは、ライダーのブランドとチームのブランドとの、必ずしも簡単ではない共存も引き継ぐことになります。
替える前の3つの問い
疲れからか、あるいは熱意からか、契約満了の時点ですでに結論を出していた企業を、私は一社ならず見てきました。それよりも、3つの問いで立ち止まるほうがうまくいきます。1つ目、自分が本当に買っていたのは何か。チームか、ライダーか、選手権か。2つ目、新しい選択は、古い選択がもう与えてくれないものを、同じ指標で測って何をもたらすのか。3つ目、業種の独占条項、ライダーの契約、市場のカレンダーのなかで、どの制約を手放し、どの制約に出会うのか。答えがひとつでも欠けているなら、契約前にそれを見つける時間を取る価値があります。
スポンサーが変更を望むときの私たちの進め方
私たちは30年にわたりF1とMotoGPのスポンサー市場を追ってきました。仕事のなかで最も役に立つ部分は、契約の前にあります。前のスポンサーシップで何がうまくいったのか、どのチームやライダーが今日の目標に合うのか、同じ制約を繰り返さないためにどんな条項が必要なのかを見極めることです。私たちのモデルでは、手数料を支払うのはスポンサー企業ではなく、スポーツの権利保有者です。この分離があるからこそ、残るほうが得策なときには、残ることも勧められるのです。
チームの変更は一日で発表されます。その代償も成果も、何年も続きます。
スポンサー変更についてのよくある質問
スポンサーはなぜチームを替えるのですか?
繰り返し現れる理由は4つです。ライダーやドライバーを追うため、より有望な技術プロジェクトに賭けるため、グリッドでの役割と露出を変えるため、そして契約満了時にコストとリターンを計算し直すためです。レース結果も重要ですが、それだけが理由になることはまれです。
スポンサーはライダーやドライバーを追って別のチームに移れますか?
移れます。サンタンデール銀行は2010年、フェルナンド・アロンソと同じ年にフェラーリに加わり、2025年にはカルロス・サインツとともにフェラーリからウィリアムズへ移りました。MotoGPでは、マルク・マルケスの離脱後、レッドブルが契約の条項により2023年末にホンダを離れています。
レプソルはなぜMotoGPでホンダを離れたのですか?
レプソルは2024年9月8日、2024年シーズン限りでホンダのファクトリーチームとの関係を終えると発表しました。1995年の開始から30年目のことです。どちらの側も公式な理由は示していません。チームは2025年からHonda HRC Castrolとして参戦しており、2027年からはレッドブルを再び主要パートナーのひとつに迎えます。
マルボロはなぜフェラーリだけをスポンサーしたのですか?
1974年から1996年までの23シーズンをマクラーレンと過ごした後、フィリップ・モリスは投資をフェラーリに集中させ、マルボロは1997年からフェラーリのタイトルスポンサーになりました。露出を分散させるのではなく、最も知られたチームひとつに絞ったのです。欧州でたばこ広告が禁止された後、ブランドは2007年まで欧州連合以外のごく一部のレースにだけ登場しました。その後は物議を醸したバーコードを通じて結びつきが続き、バーコードは2010年にカラーリングから外されましたが、フィリップ・モリスはその後も長くフェラーリのパートナーであり続けました。
チームを替えるとき、企業はどんなリスクを負いますか?
3つあります。観客の記憶の中で前のチームと結びついたままになること、新しいチームで他のスポンサーが残した独占条項に直面すること、そしてライダーの個人契約とぶつかることです。そのため、制約は契約前に確認しておく必要があります。
スポンサーシップを替えるべきなのはいつですか?
新しい選択が、前の選択ではもう得られないものを同じ指標で測れる形でもたらし、離れるときと加わるときの制約がはっきりしているときです。契約満了は判断の自然なタイミングであり、ライダー市場のカレンダーにも目を配る必要があります。