フォーミュラカーの中には、最高速度で語るのがふさわしいものがあります。しかしフォーミュラEは、最初の2秒で語るほうがふさわしいシリーズです。2024-25シーズンから走っているGen3 Evoの最高速度は約320km/hとF1マシンより低いものの、静止状態から1.86秒で100km/hに達し、発表された時点ではこの加速に並ぶFIAのフォーミュラカーはありませんでした。そして2026-27シーズンにデビューするGen4は、335km/hを超えることになります。
つまり「フォーミュラEの速度はどれくらいか」という問いには少なくとも3つの答えがあり、それを混同するのが最もよくある間違いです。最高速度、加速、そしてラップタイムです。選手権の公式データをもとに、ひとつずつ見ていきましょう。
- 最高速度:Gen3 Evoで約320km/h、Gen4で335km/h以上。
- 加速:0-100km/hはGen3 Evoで1.86秒、Gen4で約1.8秒。
- ラップタイム:2026年のモナコでは、フォーミュラE第1レースのポールタイムが、同じコースでのF1のポールタイムより14.5秒遅いものでした。
世代ごとの最高速度
12年間で、フォーミュラEの最高速度は225km/hから約320km/hへと100km/h近く上がり、Gen4ではその差が110km/hを超えます。マシンの世代が変わるたびに出力が上がり、それとともにストレートでの限界も引き上げられてきました。
| 世代 | 参戦開始シーズン | 最高出力 | 最高速度 |
|---|---|---|---|
| Gen1 | 2014-15 | 200 kW | 225km/h |
| Gen2 | 2018-19 | 250 kW | 280km/h |
| Gen3とGen3 Evo | 2022-23(Evoは2024-25から) | 350 kW | 約320km/h |
| Gen4 | 2026-27 | 600 kW | 335km/h以上 |
この表を読むうえで、2つの補足が役に立ちます。最高出力はレースを通して使われる出力ではありません。Gen3 Evoでは350kWは予選のデュエルとアタックモード(Attack Mode)に限られ、レースでの上限は300kWです。Gen4では、予選とアタックモードで600kW、レースで450kWに引き上げられます。また、表の速度は理論上の最大値で、実際にどこまでその数字に近づけるかはコースによって変わります。Gen1からGen4までの歩みは、フォーミュラEのマシンの歴史をまとめた記事で紹介しています。
加速では、フォーミュラEがF1を上回る
電気モーターはトルクを瞬時に発生させ、残りは四輪駆動が担います。Gen3 Evoは四輪駆動を採用した最初のフォーミュラEマシンで、四輪駆動はスタート、予選のデュエル、アタックモードで作動します。FIAとフォーミュラEによれば、0-60mph加速は1.82秒、0-100km/h加速は1.86秒で、フォーミュラEによれば2024年のF1マシンより30%速い加速です。発表時点ではFIAのフォーミュラカーで最も加速の速いマシンでしたが、その座はGen4に移ることになります。
Gen4は、その限界をさらに押し広げます。四輪駆動は常時作動となり、レースのあらゆる局面で働きます。0-100km/h加速は約1.8秒、0-200km/hは4.4秒です。四輪駆動が常に作動する唯一のレーシング・フォーミュラカーになります。
1周で比べると:モナコでの比較
とはいえ、静止状態からの加速だけでレースに勝てるわけではありません。1周で重要になるのはコーナリングスピードで、はるかに大きなダウンフォースを持つF1は、そこでは別次元の存在です。最もわかりやすい比較ができるのはモナコで、両シリーズは同じ全長3.337kmのコースを使っています。2026年、フォーミュラE第1レースのポールポジションはダン・ティクタムの1分26秒551、F1グランプリのポールポジションはキミ・アントネッリの1分12秒051でした。同じコース、同じ年で14秒半の差があり、平均速度は約139km/hに対して167km/hです。
2つのシリーズの違いは性能だけにとどまりません。それについてはフォーミュラEとF1の比較記事で整理しています。どのカテゴリーが絶対的な記録を持っているのかを知りたい方は、最も速いモータースポーツの記事でランキングをご覧ください。
フォーミュラEがこれ以上速く走らない3つの理由
これは、選手権が乗り越えられない技術的な限界ではありません。3つの要素によって決まる選択なのです。
1. コース。フォーミュラEは、主に都市の中に設けられた市街地コースや仮設コースでレースを行います。2025-26シーズンの開催地をいくつか挙げれば、サンパウロ、ジッダ、ベルリン、モナコ、東京、ロンドンです。短いストレートと低速コーナーでは、最高速度を発揮する余地はほとんどありません。フォーミュラEのカレンダーを見れば、なぜ最高速度が重要な数字ではないのかが、どんなスペック表よりもよくわかります。
2. エネルギー。レースで使えるエネルギーには限りがあり、その管理もドライバーの仕事のうちです。Gen3でもGen4でも、レースで使うエネルギーの40%以上がブレーキング時に回生されます。Gen4では回生出力が600kWから700kWに上がります。序盤に使いすぎると、最終ラップで守りに必要な電力が残っていないおそれがあります。
3. タイヤ。Gen3 Evoは、ドライでもウエットでも同じハンコックのタイヤ1種類で走ります。このタイヤは耐久性とエネルギー効率も考慮して設計されています。コンディションごとに異なるコンパウンドを使うF1マシンには必要のない妥協です。
屋内での記録
ほかのフォーミュラカーにはない記録もあります。2023年7月、ロンドンのエクセル(ExCeL)で、ジェイク・ヒューズが全長346mの屋内ストレートで218.71km/hを記録しました。マシンは、出力を400kWに高めたGen3の改造車GENBETAです。これは屋内での最高速度のギネス世界記録となり、それまでの記録を50km/h以上上回りました。ちょっとした話題ではありますが、ロンドンではエクセルの館内と屋外を行き来するコースでレースを行うこの選手権の特徴をよく表しています。
ブランドにとっての意味
企業にとって、フォーミュラEの速さは数字としてよりも、ストーリーとして価値を持ちます。静止状態からの加速でF1マシンを上回り、世代ごとに性能を高め、ブレーキング時にエネルギーの大きな部分を回生するシリーズは、テクノロジー、エネルギー、モビリティのブランドに、具体的で検証可能、しかも伝えやすい訴求ポイントを与えてくれます。都市部のオーディエンスとイノベーションとの結びつきを求めるなら、これほど一貫性のある舞台はなかなか見つかりません。
とはいえ、すべてのブランドに最適な選択というわけではありません。純粋なスピード、歴史、あるいはより幅広い世界的なオーディエンスと結びつきたいブランドには、F1のほうが合っています。まずはF1でのスポンサーシップのページからご覧ください。一方、フォーミュラEを検討しているなら、動き出す前に知っておくべきなのはまずコストで、フォーミュラEのスポンサー費用のガイドにまとめています。具体的な機会については、フォーミュラEのスポンサーシップのページでご紹介しています。
フォーミュラEの速度についてよくある質問
フォーミュラEのマシンはどれくらい速いですか?
2025-26シーズンまで使われるGen3 Evoの最高速度は約320km/hで、0-100km/h加速は1.86秒です。2026-27シーズンにデビューするGen4は335km/hを超え、0-100km/h加速は約1.8秒に短縮されます。
フォーミュラEのGen4の最高速度は?
フォーミュラEによれば、Gen4の最高速度は335km/h(208mph)を超えます。出力は予選とアタックモードで600kW、レースで450kW、駆動方式は常時四輪駆動で、市街地コースではGen3 Evoより1周あたり少なくとも5秒速くなる見込みです。
フォーミュラEの0-100km/h加速は何秒ですか?
FIAとフォーミュラEによれば、Gen3 Evoの0-100km/h加速は1.86秒、0-60mph加速は1.82秒です。フォーミュラEによれば、これは2024年のF1マシンより30%速い加速です。Gen4は約1.8秒に短縮され、200km/hまで4.4秒で到達します。
フォーミュラEとF1はどっちが速いですか?
何を比べるかによります。静止状態からの加速では、電気モーターの瞬時のトルクと四輪駆動のおかげでフォーミュラEのほうが速くなります。一方、1周のタイムと最高速度ではF1のほうが明らかに速く、2026年のモナコでは、同じコースでF1のポールタイムがフォーミュラE第1レースのポールタイムより14.5秒速いものでした。
なぜフォーミュラEは1周のタイムでF1より遅いのですか?
理由は3つあります。主に短いストレートの市街地コースで走ること、限られたエネルギーを管理し、その一部をブレーキング時に回生しなければならないこと、そしてGen3 Evoではドライでもウエットでも同じタイヤを使うことです。さらにF1ははるかに大きなダウンフォースを持っているため、コーナーをより速く走れます。
フォーミュラEのマシンが速度記録を作ったことはありますか?
はい、屋内であります。2023年7月、ジェイク・ヒューズがロンドンのエクセルで、Gen3の改造車GENBETAを駆って218.71km/hを記録し、建物内での最高速度のギネス世界記録を樹立しました。