2025年のマイアミGPで、F1ドライバーたちはいつものようにトラックの荷台に乗ってドライバーズパレードを行いませんでした。LEGOブロックで作られた実物大のマシン10台に乗って周回したのです。チームごとに1台、実際に運転でき、電動モーターと本物のタイヤを備えていました。LEGOにそうすることを義務づけるルールはありませんでした。2024年にF1と結んだ複数年のパートナーシップは、グランプリでの露出を保証するものでした。そして、F1と10チームとともに実現したこのアイデアが、世界中で取り上げられる映像をもたらしたのです。
これが、スポンサーシップと記憶に残るスポンサーシップの違いです。スポーツスポンサーシップにおける創造性は、キャンペーンの飾りではありません。ブランドが購入した権利を、観客が見たい、共有したい、覚えておきたいと思うものに変える方法なのです。
要点
- スポンサー契約が買うのは露出の場と権利であり、それが何になるかを決めるのは創造性です。
- モータースポーツでうまくいくアイデアは、上から貼り付けた広告ではなく、レース、製品、ブランドの歴史から生まれます。
- よいアイデアは測定されます。注目を集めるだけでなく、成果も生まなければなりません。
なぜロゴよりも創造性が重要なのか
車体やレーシングスーツのロゴは、今でもほぼすべてのスポンサーシップの出発点です。しかしロゴだけでは、同じマシン、同じグリッド上の何十ものブランドと競うことになります。観客の目には入っても、意識して見られることはありません。
創造性が力を発揮するのは契約の後です。獲得した権利、ホスピタリティ、ドライバー、映像、サーキットのスペースをどう使うかを決める仕事です。私たちの経験では、アクティベーション、つまり権利の周りで行うすべてのことに充てる予算は、権利そのものと少なくとも同じくらい成果を左右します。詳しくはスポーツスポンサーシップのアクティベーションとは何かのガイドで解説しています。
うまくいった3つのアイデア
LEGOとマイアミのパレード
2025年5月、LEGOとF1は、ドライバーズパレードのトラックを実物大のマシン10台に置き換えました。チームごとに1台、ブロックで作られ、低速で運転できるマシンです。このアイデアは製品から生まれました。組み立て玩具のブランドが、自らスポンサーを務める選手権のマシンを、みんなの目の前で組み立ててみせたのです。同じマシンでほかのグランプリを巡るツアーも、その後発表されました。
モナコのガルフとマクラーレン
2021年のモナコGPで、マクラーレンはガルフの水色とオレンジのカラーリングで走りました。ガルフは、1960年代末からレーシングカーでこの配色を有名にしてきた石油ブランドです。歴史の上に築かれたアイデアであり、シーズンで最も注目され、最も多く撮影されるグランプリのひとつで1週末限りの特別カラーリングを披露し、ランド・ノリスの表彰台で締めくくりました。
レッドブル・ストラトス
2012年10月、フェリックス・バウムガートナーは、高度約39キロメートルに浮かぶカプセルから飛び降りました。レッドブルが企画し、自らの名を冠したプロジェクトです。モータースポーツではありませんが、イベントを買うのではなく自ら生み出すブランドの例として、最もよく引用されるケースのひとつです。詳しくはフェリックス・バウムガートナーとレッドブルの分析記事で取り上げています。
F1からフォーミュラEまで、ほかの事例はモータースポーツで最もクリエイティブなスポンサーシップのガイドにまとめています。
うまくいくアイデアはどこから生まれるか
私たちが見てきた成功例では、アイデアはほぼ必ず次の3つのいずれかから生まれています。
- 製品:LEGOとブロックのように、ブランドが得意とするものをサーキットに持ち込む。
- 歴史:ガルフとその配色のように、モータースポーツとの本物のつながりを生かす。
- レース:ドライバーズパレード、表彰台、ピットストップなど、週末のある瞬間を軸にアイデアを組み立てる。
どれからも生まれていないアイデアは、レースの上に貼り付けた広告だと受け取られ、読み飛ばされてしまうおそれがあります。
創造性の限界
創造性にも限界があり、事前に知っておくほうが得策です。まず、ブランドをどこにどう表示できるかを決めるスポーツ規則と技術規則があります。次に権利です。レースの公式映像は選手権の権利保有者に属しており、それを使うアイデアは契約で取り決めておく必要があります。そして一貫性です。見事でもブランドの価値観からかけ離れた企画は、1日は話題になっても、長く混乱を招くおそれがあります。
クリエイティブなアイデアをどう測るか
話題になったアイデアのメディア価値は非常に高くなることがありますが、それはあくまで露出のコストの推計であり、得られた成果ではありません。クリエイティブなアイデアも、スポンサーシップのほかの部分と同じように評価します。見込み客、売上、ターゲット層での認知度など、事前に決めた指標で測るのです。その方法はアナリティクスでスポンサーシップを測定し最適化する方法のガイドで説明しています。
向いている企業、向いていない企業
クリエイティブなアクティベーションが最も効果を発揮するのは、見せるべき製品や語るべき物語を持つブランド、そしてスポンサーがひしめき、目立つことが注目される条件となる選手権に参入する企業です。予算が権利の費用をかろうじて賄う程度なら、効果は小さくなります。うまく実現する手段のないアイデアは、よい位置に置いたロゴより成果が少ないこともあります。その場合は、同じ資源で違いを生み出せる、より小規模なスポンサー対象を選ぶほうが得策です。
私たちのアイデアへの取り組み方
私たちはスポンサーの目標と利用できる権利から出発し、アイデアが本当に生まれる場所、つまり製品、ブランドの歴史、レースの瞬間の中にそれを探します。提案する前に規則と権利を確認し、測定方法を決めます。これはF1のスポンサーシップでもMotoGPのスポンサーシップでも同じです。私たちのモデルでは、手数料を支払うのはスポンサー企業ではなくスポーツプロパティ側です。だからこそ、最も高価なものでなくても、最もふさわしいアイデアを提案できるのです。
スポーツスポンサーシップにおける創造性に関するよくある質問
スポーツスポンサーシップで創造性が重要なのはなぜですか?
契約で買えるのは露出の場と権利であって、注目ではないからです。何十ものスポンサーがいる選手権では、その権利を観客が見て、共有し、覚えておく企画に変えるのが創造性です。
モータースポーツにおけるクリエイティブなスポンサーシップの例は?
2025年のマイアミGPでは、LEGOがブロックで作った実物大のマシン10台でF1ドライバーをパレードさせました。2021年のモナコでは、マクラーレンがガルフの伝統的なカラーリングで走りました。サーキットの外では、2012年にレッドブルがフェリックス・バウムガートナーの成層圏からのジャンプを実現させました。
スポンサーのためのクリエイティブなアイデアはどこから生まれますか?
ブランドの製品、その歴史とモータースポーツとの本物のつながり、あるいはドライバーズパレード、表彰台、ピットストップといったレースの瞬間からです。これらのどれからも生まれていないアイデアは、広告として受け取られるおそれがあります。
スポンサーシップのアクティベーションとは何ですか?
スポンサーが獲得した権利を活用するために行うすべてのことです。コンテンツ、イベント、ホスピタリティ、プロモーション、ドライバーとの企画などが含まれます。創造性によって、アクティベーションは記憶に残るものになります。
スポーツスポンサーシップにおける創造性の限界は何ですか?
ブランドを表示できる場所を定めるスポーツ規則と技術規則、選手権の権利保有者に属するレースの公式映像の権利、そしてブランドの価値観との一貫性です。
クリエイティブなアイデアの成功はどう測りますか?
スポンサーシップのために設定したのと同じ指標、つまり見込み客、売上、ターゲット層での認知度で測ります。話題になったアイデアのメディア価値は露出のコストを推計するもので、得られた成果ではありません。